東京都在住 40歳 男性
【レッスンご相談内容】
学生時代からテニスをされていましたが、ずっとバックハンドストロークに悩みを持たれ、なんとか改善したいとご相談をいただきました。
現在はお仕事をされながら、週末にテニススクールでレッスンを受講されています。
テニス歴も長く技術的にはとても上手でいらっしゃいますが、やはりバックハンドにくせがあると同時に、バックハンドに対する苦手意識がさらに対応力を落としている、と見受けられました。
【指導内容例①】
今回の指導では、以下のポイントをお伝えしました
①体のターンに意識をフォーカスすること
②練習を上達の機会にするための取り組み方
①体のターンに意識をフォーカスすること
スイングをする際の課題として、『腕の動きに力みが入り、スイングをする際のそれが邪魔をしてスムーズなスイングができない』ことにありました。
ただ、その課題意識があるがゆえに『腕に対する意識』が過剰になっており、結果として腕に力みが入る、という悪循環に入っていました。
そのため、今回は意識のフォーカスを『体のターン』におき、その体のターンによって腕がついてくる感覚を観察していただくようにしました。
意識のフォーカスを体のターンに置くことにより、腕への課題意識が薄れ、結果として腕の力みを抜いていくことができます。
今回のように指導をする際には、『なぜそのスイングになっているのか』という根本課題を見抜き、そこに対してアプローチをしなければ、見かけばかりのスイング改善となって本質的に良いスイングや良いボールを打つことはできません。
結果として、腕の力みが抜け、スムーズなスイングが実現できました。
②練習を上達の機会にするための取り組み方
このプライベートレッスンで上達したとしても、普段の練習で元に戻ってしまっては意味がありません。
そういった点で、プライベートレッスンで改善しても、次までにまた元に戻って、という現象が起きていました。
ミスやうまくいかない原因というのは、一つではなく複数であったり、原因の原因があるケースもあります。
しかし、自分で練習をしていると、『ミスをした』という事実にとらわれてしまい、そのことに対処しようとすると、本来取り組むべき課題に対して意識が薄れてしまいます。
そうすると、継続して取り組むべき改善点が後回しになってしまうので、なかなか上達していかない、ということになります。
大事なポイントは、今の自分の課題は何が原因で生まれているのか、どのような構造になっているのか、ということの本質を正しく理解し、その本質を常に意識しながら練習に取り組むことにあります。
たとえば、バックハンドのミスに対して、『ボールとの距離感』という課題と『スイング感覚』という課題があったとします。
そして、『スイング感覚』を意識しながら練習をして、もしもそれがうまくできていたとしても、まだ『ボールとの距離感』という課題があるので、まだミスは生まれてしまいます。
しかし、このミスが出たときに、『スイング感覚』ができているにもかかわらずこのミスに対応しようとして『距離感』に対しても意識をしようとすると、せっかく改善し身につきつつあった『スイング感覚』がまた元に戻ってしまいます。
練習の中では、もちろん結果として表れている『ミス』に対する意識も大事ですが、それと同様に『意識していること』を継続して身につくまで取り組むことも大事なポイントになってきます。
【指導内容例②】
今回は、ボールとの距離感のとり方をお伝えしました。その中でも特に
①飛んでくるボールに対する気付きの感覚
②予測したボールに対する左足の使い方
をお伝えしました。
①飛んでくるボールに対する気付きの感覚
よく打点に入れないのは『足が動いていないからだ』とおっしゃる方がいますが、実際はそうでないケースのほうが多いです。
実は多くの方は、ボールが正確に見れていないことによって、軌道の予測ができておらず、どこに来るのかがわかっていないことのほうが、原因としてよく見受けられます。
今回も、球出しをしていて、時折勢いの無いボールを出したりすると、それに気づかずにいつもの場所で構えており、ボールがバウンドしてからであったり、場合によっては打つときになって『前であった』ことに気づくケースがありました。
そのため、相手からボールが飛んできているときに、どの段階でボールの位置の予測が立っているのか、等を観察しながらやっていただくことで、自分がどのようにボールを見ていたかに対する気付きが生まれたり、また、きちんと見れているときとそうでないときの違いに対する気付きが生まれ、ボールの予測が正確になっていきました。
②予測したボールに対する左足の使い方
ボールを予測できたとしても、その位置まで適切に足を動かさなければ良い打点に入ることはできません。
バックハンドの場合は左足がポイントになります。
もちろん右足でも距離感を調整するのですが、右足での調整は最後の手段としてとっておくようにすることが必要で、右足で調整することに頼りすぎていると良い打点に入ることはできません。
そのために、予測した打点に対して、左足をきちんともっていくことで、ボールとの距離感の調整が楽になっていきます。
また、この左足を置くタイミングが、ボールがバウンドするタイミングと合わせてあげることで、バウンド後~打点までの時間で距離感をさらに見極めることができ、踏み込み足の調整がより正確になっていきます。
これが『自分の間合い』になっていきます。
今回の練習では、この左足が常に横に動く傾向があったことに対して気づいていただき、そこから予測した打点に対して直線的に移動して左足を置いていただくようにしました。
御本人の感想として、『これまで余計に無駄に足を動かしていたのが、極端に歩数が減って楽になったのに打点に入れるようになった』とおっしゃっていました。
【指導内容例③】
今回は、前回お伝えした点がどこまでできているかを確認したところ、かなりボールとの距離感が改善してきました。御本人もその実感がありました。
今回はさらに前後のボールに対する動きの作り方をお伝えしました。
また、バックハンドのスピンボールはかなり改善してきたため、スライスでのショット習得についてもお伝えしました。
①前後のボールに対する足の運び方
以前と比較してかなり動き方は改善されてきたものの、特に深いボールに対して課題を感じていらっしゃいました。実際に打ってみていただいたところ、足の運び方と最後の一歩を改善することをお伝えしました。
下がる時の動作ですが、特に苦手なショットの下がる動作になるとサイドステップになってしまう方が多く見受けられます。今回もそのような動きになっておりましたので、まずは走って動くようにお伝えしました。
そして、さらに深いボールを打つ際にいつもと同じように足を運んでしまうと差し込まれてしまい、打点が遅れてしまうことにつながります。
そのため、走っていった後の最後の足の使い方を工夫することで、かなり懐を大きく保つことが可能となるため、その足の使い方もお伝えさせていただきました。
②バックハンドスライス
多くの方がバックハンドスライスを覚えようとすると、スライス回転なのでラケット面を上向きにして切るような動作をしてしまいがちです。さらにその動作を手首で行ってしまうと、当たりがかすれたようなかたちになってしまいます。
まず私が大事にしている感覚として、『がんばらなくてもボールはこんなに簡単に飛ぶ』という感覚が大切だと考えています。この感覚がないと、無理をして力んでボールを飛ばすような動きになってしまい、不自然な動作とミスにつながります。
シンプルな動作でこの感覚をスライスでも感じていただきました。そうしていくと、あまり余計な動きをしようとしなくてもボールは十分に簡単に打てるのだ、と身体が理解するので、動作が自然に無駄がなくなっていきます。
そのように取り組んでいただき、今までとは異なった簡単にボールが飛んでいく滑るスライスをお伝えすることができました。
【指導内容例④】
かなりボールとの間合いの作り方がよくなってきましたが、さらに球際での調整の仕方をお伝えしました。
①ボールとの間合いの取り方
ボールとの距離感の取り方はよくなってきましたが、どんなに正確に予測しようとしてもやはり想定外や十分に追いつけないときは起こります。そのようなボールに対しても間合いが十分に取れていれば対応が可能になりますが、間合いが取れていないと対応できなくなってしまいます。今回はこの点についてお伝えさせていただきました。
具体的には、バックハンドの際に左足をセットして構えるタイミングを少し早めにし、ボールとの距離や間合いを見極める時間を作ることをお伝えさせていただきました。
この構えた後の時間は意識をしないとなんとなく過ぎてしまうのですが、この時間をボールとの距離を見極める時間に使うことができると、様々なボールにも柔軟に対応していくことができます。
そして、速いボールが来たときもこの間合を作ることができれば、これまでと同じようにスイングをすることが可能になりますが、この間合がないとボールに打たされてしまうことになります。
球出しやラリーをしながら、この間合をお伝えさせていただきました。
②スイングの中にボールを呼び込む
また、ラリーをしていくと、ボールに合わせてスイングをしてしまう傾向が見て取れました。
スイングは、様々なボールに合わせて変えてしまうと、打球方向や振り抜きが変わってしまいミスにつながります。どんなボールが来ても同じスイングで対応することが大事なポイントになってきます。
そのため、ボールに対してスイングを調整しようとする捉え方ではなく、スイングの中にボールが入ってくるような感覚でボールに対してスイングしていくようにお伝えさせていただきました。
【指導内容例⑤】
簡単なボールでのショットはかなりよくなってきましたが、さらにラリーでの課題を感じていらっしゃいました。ラリーにおいて力みが入り、練習してきたスイングができない、とのことでした。
①状況に応じた打ちたいボールのゴール設定
お話をさせていただく中で、どのようなボールでも今までお伝えさせていただいたような、距離感の取り方、打点の入り方、スイングの感覚等を完璧に取り組もうとして、打とうとしているボールもどんな状況でも完璧を求めていらっしゃるように感じました。
しかし、ラリーにおいては様々なボールが来るので、なかなかすべてのボールに対して完璧に処理することはできません。
そのため、その時その時の状況において、今の自分にできる範囲の目標設定をするように意識していただきました。そうすることで圧倒的にミスは減っていきました。
②とっさの時のスイング感覚
また、ラリーにおいては、どんなに正確に予測しようとしても、不意の事態というのは起こります。このときに自分の体に無意識で染み付いている動作がとっさに出てしまいます。
この時のとっさの動作で、手からスイングをする感覚がまだあるので、ミスにつながっていることがわかりました。
そのため、不意の事態のときほど、体で持っていくような感覚を意識していただきました。
サーブのスイング感覚
また、今回はサーブについてのご相談もお伺いしました。なかなか一所懸命振っているのに球速が出ない、というお悩みでした。
スイングを拝見すると、スイング軌道を手先の力で作ろうとしているのが見受けられました。
サーブのスイングにおいては、インパクトでリストが動いているのでリストの力で動かしているかのように錯覚するのですが、実際はリストの力は抜けており、ラケットが回っていく力を利用してボールを打っています。
まずはシンプルな動作からその感覚に気づいていただき、少しずつサーブの動きで『簡単に楽にボールが飛ぶ感覚』を味わっていただきました。
※このアドバイスは、それぞれの方の課題に対して必要なタイミングを見極めてアドバイスしております。同じ課題であってもこのアドバイスが適切でなかったり、ベストのタイミングでない場合がありますのでご了承ください。
※このアドバイスは、それぞれの方の課題に対して必要なタイミングを見極めてアドバイスしております。同じ課題であってもこのアドバイスが適切でなかったり、ベストのタイミングでない場合がありますのでご了承ください。