神奈川県在住 9歳 女性
【レッスンご相談内容】
今回は、インドアテニススクールに週6回通っているけれども、コーチが怒る指導をするため、テニスがあまり面白くなくなってきている、とのことでご相談にいらっしゃいました。
また、将来はテニス選手になりたいとのことで、プロの試合などにも観戦にいらしているので、楽しむのと同時に基本的に技術の指導も行えたら、とのご依頼をいただきました。
【指導内容例①】
ストロークのスイングの改善
これまでのレッスン内容やアドバイスを伺っていると、フォームの形に関するアドバイスが多いと感じられました。そのため、ラリーをしていても『こうしなければいけない』『これをこうでなければいけない』といった具合で、様々なことを意識していることは良いことなのですが、それによって身体の動きが固くなっているように見受けられました。
そのため、まず最初に身体の柔らかさやしなやかさを取り戻すために、スイングの感覚やラケットの感覚を感じることからスタートしました。
テニスの動作というのは、数秒の間に『ボールの判断』『選択』『想定外の状況への対応』などを行っていく必要があります。そしてそれは頭で考えてから司令を出して動く、という部分では対応できない領域です。
もちろん意識的に動作を行って改善をしていくことは大切ですが、より根本的で本質的な部分をカバーできていないと、とてもそういった想定外の事態に対応することはできません。
たとえば、スイングの仕方やフォロースルーの位置などといった型を意識するとしましょう。しかし実際には多種多様なボールに対応する必要があり、そのそれぞれに対してスイングの仕方等を覚えていくことは現実的ではありません。
そのようなときにどうするかというと、よりスイングの本質的な部分を理解することで、いろいろなケースにも対応できるスイングが完成していくようになります。
このようにスイングの感覚とそれを観察していくことをお伝えし、まずはシンプルな球出しから実践していきました。そして、少しずつその感覚がつかめていったら、今度はラリーで実践をしてみました。
特にこのように少しステップアップした練習をしていく際は、あまり細かいミスは気にせず、とにかく意識しているテーマにフォーカスして、そのことがきちんと実践できているかどうかに注意を払う必要があります。
その結果、ラリー練習をしていくなかで、スイングの改善ができてきている証拠として、とっさのボールにも柔軟にスイングができているケースが出てきました。
【指導内容例②】
距離感の改善と課題改善の考え方
今回のレッスンでは、ボールの距離感のとり方についてお伝えさせていただきました。
ボールと距離感を取るためには、一般的には『足を動かす』ことが必要と言われていますが、足を動かせば解決するのは、どこにボールが来るかがすでにわかっている場合です。
しかし、多くのケースでは、どこにボールが来るかの予想があいまいであったり、予想できていなかったりするために、予め打点に入っていることができずに、距離感が取れていません。
今回は最初から答えをお伝えするのではなく、自分で解決法を探るようにサポートさせていただきました。
最初から答えをお伝えし、それを実践していただくことは教える側としては簡単なのですが、大きく2つの問題が生じます。
まずひとつは、答えやアドバイスに対して本人がどこまで真剣に捉えるか、という点です。
うまくいかない原因に対して、本人が真剣に考え、その課題を解決するために答えを心から求めている状況であれば、与えられたヒントや答えを真剣に取り組もうとするため、集中力の改善や動きの改善が生まれやすくなります。
一方で、自分ではそれほど重要度を感じていなかったり、あるいは本当は自分の中で違う答えだと思っていたりすると、ヒントや答えを与えられても、そのことを真剣に実践しようとはせず、動きに変化が生まれません。
また、テニスで勝てるようになるための原因を積み重ねていくことは、一つだけの勝てる原因を作れれば勝てるようになるのではなく、無数の原因を改善していく必要があります。
そのためには、コーチのアドバイスやヒントだけではなく、隅々まで自分で考えて改善していく姿勢が必要不可欠であり、答えがわかることではなく、答えを見つけるための方法を学んでいくことが大事になってきます。
レッスンを進める中で、選手自身で色々な解決策を考えるための質問をこちらから行い、最初は論理的に原因を探求することができていませんでした。
しかし、自分で考えた解決策を一つ一つつぶし、さらに原因と考えつくアイディアがきちんとつながっているかを確認しながら、原因を深掘りし、課題を観察していきました。
その結果、飛んでくるボールに対して、『高さ』だけで判断していることを発見し、そこに『強さ』を見抜けていないことが理解していけました。
自分でそのポイントを理解できれば、あとはスムーズに改善し、ボールに対していち早く判断し、的確に打点に入れるようになっていきました。
動きとしては、従来はボールが出てから少しボールを見る時間があってから動きはじめていたり、ボールがバウンドしてから浅い・深いに気づく場面が多かったですが、改善後はボールが出たらすぐに動き始めの動作が生まれ、かつ的確にすばやく打点に入れるようになっていきました。
※このアドバイスは、それぞれの方の課題に対して必要なタイミングを見極めてアドバイスしております。同じ課題であってもこのアドバイスが適切でなかったり、ベストのタイミングでない場合がありますのでご了承ください。